成年後見制度〜こんな心配ごとがあるのですが
- 今は元気だが、将来的に認知症になったらどうしようかと思っている。一人暮らしで子どもも海外に住んでおり、子どもには迷惑を掛けたくない。
- 高齢となった父親が、認知症になってしまった。先日家族と相談なしに、リフォーム業者と自宅の大規模リフォームの契約をしてしまったらしい。契約書には法外な代金の記載があり、どうすればよいか悩んでいる。
- 40歳になる息子は、生まれながら知的障がいがある。普段は私が日常生活をサポートしているが、高齢となり、私がいなくなった後のことが心配だ。
成年後見制度とは
成年後見制度は、認知症のお年寄りや、知的障がい、精神障がい、発達障がい等で判断能力が十分でない方を、日常生活・財産・法律面からサポートする制度です。成年後見人等として選ばれた支援者が本人に代わって、福祉サービス等の生活上必要な契約の締結や、預貯金・不動産等の財産管理を行うほか、場合によっては本人に不利な契約の取消しも行います。その基本理念は、自己決定の尊重、ノーマライゼーション(障がいのある人が、障がいのない人と同等に生活し、ともにいきいきと活動できる社会を目指すという考え方)、そして残存能力の活用です。民法858条は、「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態および生活の状況に配慮しなければならない」とうたっています。成年後見制度には、以下の2つの制度類型があります。
法定後見制度
法定後見制度は、認知症や精神障がい等により判断能力がすでに低下している人が、すぐにでも支援を受けたいときに利用する制度です。家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)が、ご本人の財産や権利を守るために支援を行います。法定後見は、認知症や障がいの程度に応じて、以下の「後見」「保佐」「補助」の3類型があります。
「後見」
判断能力を欠く状況にあることがほとんどの方、つまり、契約等の意味・内容を理解し、判断することがほとんどできない方が対象となります。成年後見人は、本人が行ったすべての*法律行為について同意、取消、代理ができます。(*例外:日用品の買物等は除く)
「保佐」
判断能力が著しく不十分な方、つまり、身の回りに関することや日常的な買い物はできるが、支援を受けなければ重要な取引についての判断をすることができない方が対象となります。保佐人は、本人が行った法律の定める重要な法律行為(借入をしたり、不動産の売買を行うこと等)について同意、取消ができます。また家庭裁判所は本人の同意を得て、申立ての範囲内で特定の法律行為について保佐人に代理権を与えることもできます。
「補助」
判断能力が不十分な方、つまり多くのことは自分できるが、支援を受けなければ一部の複雑な取引や手続きについて理解し判断することが難しい場合がある方が対象となります。家庭裁判所は本人の同意を得て、申立ての範囲内で特定の法律行為について補助人に同意、取消、代理権を与えることができます。
任意後見制度
任意後見制度は、今は元気だが、将来の判断能力が低下する前にあらかじめ備えておきたい方が利用する制度です。将来、認知症や障がい等で判断能力が低下する事態に備えて、あらかじめ本人が選んだ人(任意後見受任者、のちの任意後見人)に、代わりにしてもらいたいと思っていること(財産管理や契約締結などの法律行為)を公正証書による契約(任意後見契約)で決めておきます。本人の判断能力が現実に低下してきたとき、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任され初めて任意後見契約の効力が生じます。
成年後見制度はどのように利用するのでしょうか
法定後見
本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助のどの類型で申立てをするか決定し、本人の住居地を管轄する家庭裁判所に申立てをします。申立てすることが出来る人は、本人、配偶者、四親等以内の親族等、親族等の申立人がいないときは、市区町村長になります。申立て時には、後見人等の候補者を申立てることもできます。
後見の申立てがなされると、家庭裁判所は、申立人、後見人等候補者及び本人への事情聴取や、本人の精神鑑定、親族照会等により鑑定・調査を行い、成年後見等の開始の審判を行うと共に、成年後見人等を職権で選任します。その後、家庭裁判所は東京法務局に後見登記を依頼します。
成年後見人等は、就任後速やかに本人の財産目録を作成し、年間収支予定表と共に家庭裁判所に提出し、後見等の職務を開始します。職務内容は、①預貯金取引・費用支払等の財産管理事務、②医療・介護契約等の身上監護事務、③家庭裁判所への報告事務、です。
任意後見
ご本人が将来的に自分を支援してくれる人、すなわち「任意後見人」になる人を選任します。この人を「任意後見受任者」と呼びます。そして、将来自分の判断能力が低下したときにどのような法律行為をして欲しいのかを決め、任意後見契約を公正証書で締結します。法律行為の内容とは、①預貯金取引・費用支払等の財産管理事務、②医療・介護契約等の身上監護事務、です。任意後見契約とあわせて、必要に応じ、継続的見守り契約、委任契約(財産管理含む)や、死後事務委任契約を締結することもあります。
いよいよ本人の判断能力が低下してきたとき、任意後見監督人選任について、本人の住居地を管轄する家庭裁判所に申立てをします。申立てすることが出来る人は、本人、配偶者、四親等以内の親族等、任意後見受任者です。申立て時には、後見監督人の候補者を申立てることもできます。
後見監督人選任の申立てがされると、家庭裁判所は、本人等との面会等による調査を通じ、本人の状況や任意後見受任者の事情等をふまえて審査を行い、成年後見監督人を職権で選任する審判を行います。後見監督人が選任されると、はじめて任意後見契約が発効します。
この時点で「任意後見受任者」は「任意後見人」となり、後見等の職務を開始することになります。その職務内容は、①預貯金取引・費用支払等の財産管理事務、②医療・介護契約等の身上監護事務、③任意後見監督人への報告事務、です。
成年後見制度の費用はどれくらい掛かるのでしょうか
東京家庭裁判所の平成25年1月1日付通達「成年後見人等の報酬のめやす」によれば、成年後見人等(含む保佐人、補助人)が、通常の後見事務を行った場合の基本報酬のめやすは、月額2万円で、管理財産額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合は、基本報酬額は月額3~4万円、5,000万円を超える場合は月額5~6万円とされています。
また成年後見監督人が、通常の後見監督事務を行った場合の基本報酬のめやすは、管理財産額が5,000万円以下の場合は、基本報酬額は月額1~2万円、5,000万円を超える場合は月額2万5千円~3万円とされています。
その他、成年後見人等の後見等事務において、身上監護等に特別困難な事情があった場合には、基本報酬額の50パーセントの範囲内で付加できるものとされています。
法定後見の場合、その報酬額については、後見人等より家庭裁判所に対して報酬付与審判申立てを行い、家庭裁判所が報酬額を決定することになりますが、任意後見の場合は、任意後見契約に予め任意後見人の報酬額が定められます。なお任意後見監督人の報酬は、法定後見と同様、家庭裁判所が決定することになります。
これらとは別に、家庭裁判所に対する申立て費用が別途掛かります。申立てに当たっては鑑定費用(10~20万円程度)が掛かることもあります。詳しくは裁判所ホームページURL:courtsgo.jpをご参照ください。
成年後見制度利用のこと、当事務所に相談してみませんか
当事務所の行政書士は、東京都行政書士会により設立された「公益社団法人成年後見支援センターヒルフェ」の正会員(後見人等候補者名簿搭載者)です。成年後見制度の利用についてお考えの方、ご興味のある方は、当事務所に一度ご相談ください。手続きに精通した専門家が親身になってアドバイスいたします。初回相談は60分まで無料です。
成年後見関連手続き業務の料金
相談料: 初回面接相談60分まで無料、2時間目及び2回目以降:30分毎に5,000円(消費税別)
業務内容 | 報酬(消費税10%込み) | 備考 |
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成年後見業務(後見・保佐・補助) | 裁判所が決定
(目安は月額20,000円〜) |
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後見契約書作成(任意後見) | 55,000円〜 | 別途、手数料等の実費がかかります |
後見業務(任意後見) | 月額33,000円〜 | |
後見契約書作成(見守り委任) | 33,000円〜 | 別途、手数料等の実費がかかります |
後見業務(見守り委任) | 月額3,300円〜 | |
後見契約書作成(財産管理委任) | 44,000円〜 | 別途、手数料等の実費がかかります |
財産管理業務 | 月額22,000円〜 | |
後見契約書作成(死後事務委任) | 44,000円〜 | 別途、手数料等の実費がかかります |
死後事務 | 110,000円〜 |
対象地域
立川を中心とする多摩東部、及び多摩西部、東京、神奈川、埼玉、千葉の各県にお住まいのお客さまのご用命を賜ります。
ご依頼の流れ
先ずはご予約フォーム、お電話等でコンタクトください
先ずはホームページのご予約フォームや、お急ぎの場合であればお電話で当事務所にご連絡いただき、面談のご予約をお願いいたします。
初回無料相談(60分まで無料)
ご相談場所は、当事務所にお出でいただくか、ご希望であればご自宅等お客さまご指定の場所にお伺いいたします(立川、国分寺、国立、府中、小金井、小平の各市であれば無料でお伺いいたします、その他は交通費を別途申し受けます)。Zoom等のオンライン面談も可能です。
お手続きのご説明・お見積りの提示
初回面談でお客さまのご希望や状況をしっかりお伺いいたします。そして、お客さまのご要望に合わせたご提案、お見積りをいたします。ご提案・お見積りにつきましては、初回面談の場では概要について口頭でご説明いたしますが、当方からご照会した事項等に係るお客さまからのご回答等も考慮させていただいた上で、面談終了後、遅滞なく書面又はE-mailにて正式にご提示いたします。
ご契約
当事務所からのご提案、お見積りにご同意をいただけましたら、必要に応じ正式にご契約する流れとなります。
業務開始
委任契約書の調印後、お客さまからの着手金お支払を確認いたしましたら、業務に着手いたします。
業務完了、納品
委任契約をいただいた業務の成果物、お預かりした書類等をご返却し、業務料金の残額を頂戴して業務完了となります。後見業務の場合は、法律ないし契約の定める職務を遂行し、報酬をご請求いたします。
よくあるご質問
相談は無料ですか
はい、初回面談は60分まで無料にてお伺いいたします。ご相談内容が複雑といったような理由で、万一1時間以上掛かってしまう場合は申し訳ございませんが、2時間目から30分につき5,000円(消費税別)を頂戴いたします。
出張相談は可能ですか
原則として、当事務所にお越しいただきたいのですが、どうしてもお時間が合わない等の理由があれば、ご自宅等お客さまが指定される場所にお伺いすることも可能です。立川、国分寺、国立、府中、小金井、小平の各市であれば無料でお伺いいたします、その他の地域は交通費を別途申し受けます。またZoom等のオンラインでの面談も可能です。お気軽にご相談ください。
土日祝日は対応していただけますか
原則として、平日の9時から17時までのお時間でお願いできればと存じます。平日がお忙しくお時間がなかなか取りづらいということであれば、ご予約時にその旨お伝えください。できるだけご希望をお伺いし、可能な範囲で対応いたします。
相談の際にお持ちしなければならない資料はありますか
面談のご予約の際に、ご相談の概要について予めお知らせください。その内容に従って予め必要書類をご案内しますので、ご相談時にお持ちください。万一間に合わない場合には、口頭でご説明いただき、メールや郵送等で追ってご連絡いただくことでも構いません。
専門家からのアドバイス
認知症のお年寄りや、知的障がい、精神障がい等で物事を判断する能力が十分でない方々を、法律・生活面から支援する手段のひとつとして成年後見制度があります。この制度は、これ以外の様々な支援制度の利用ともあわせ、地域、福祉、行政、法律専門職や家庭裁判所などの関係者の方々が相互に連携して初めて、有効に機能するものです。当事務所の行政書士は、これら関係者の方々が一堂に会し、定期的に意見交換を行う場である『立川市第三者後見人等連絡会』にも積極的に参加しています。成年後見の専門家として、お客さまそれぞれの状況に応じた役に立つアドバイスをさせていただきます。成年後見についてのお悩みごと、お困りごとのある方は、当事務所にご相談してみてはいかがでしょうか。